江戸時代から受け継がれた東京の伝統凧のことです。『角凧』『奴凧』『とんび凧』『独楽凧』など東京の伝統凧はいろいろありますが、『江戸凧』と言うと主に『江戸角凧』の事を言います。やや縦長の長方形の凧で、長い『うなり』と、長い『糸目』を付けて揚げるのが特徴です。別名を『江戸錦絵凧』とも呼ばれ、江戸っ子は言葉を短く『えどかく』と言ったりします。凧に描かれる絵は浮世絵や歌舞伎、また昔から伝わる逸話や物語などを題材に描かれることが多かったようです。粋な江戸文字で描かれた『字凧』などもあります。江戸時代に大流行して以来盛んにあげられるようになり、現在まで受け継がれています。
One of traditional kites from Tokyo that has been passed down since the Edo period. There are various types of traditional kites in Tokyo, such as "Kaku-dako", "Yakko-dako", "Tonbi-dako", and "Koma-dako".
『糸目』とは凧に付けてある糸のことです。
『江戸角凧』の場合、糸目の長さはその凧の縦の長さの20倍を目安に、好みによってはそれ以上長く付ける場合もあります。例えば、縦1mの凧でしたら、1m×20で、20mの糸目を付けます。糸目を合わせて端に輪を作りその輪に揚げ糸を結んで揚げます。糸目が長いため『糸目合わせ』は、凧を揚げながらその日の風に一番良い位置に調節します。『江戸角凧』を揚げるのは難しいと思われているのはこの辺にあるのかも知れません。
糸目の本数は基本14本です。凧が大きくなればそれ以上の本数を付けます。糸目は縦骨と横骨の交点からとりますが、大きい凧は骨の数も多くなるため、必然的にこの交点が増えるためです。
現在は、このしっぽ無しのスタイルが主ですが、昔は糸目を短くして、荒縄の長いしっぽを付けて揚げました。
``Itome'' is the strings which are attached to a kite.
In the case of an ``Edo Kaku Kite'', the length of the thread should be 20 times the length of the kite, but it may be longer depending on your preference. For example, if a kite is 1m long, use 1m x 20, with a 20m thread. Align the threads to make a loop at the end, tie the thread to the loop, and fly it. Since the threads are long, the thread alignment is done while flying the kite to find the best position for the wind that day. This may be the reason why people think it is difficult to fly an ``Edo Kaku kite''.
The basic number of threads is 14. If the kite is big, you need to add more threads. The threads are taken from the intersection of the vertical and horizontal bamboo stick, and since larger kites have more bamboo sticks, the number of intersections will inevitably increase.
Nowadays, this style without a tail is the main style, but in the past, the threads were shortened and flied with a long rough rope tail.
うなりは丸竹や割り竹で作った弓矢の弓のようなものに、『籐(とう)』をテープ状に裂いたものを張り、凧の頭(上部)に取り付け、籐が風に震える音を聞くというものです。昔は『籐』のかわりに鯨の髭を薄く裂いたものや、動物の皮なども使われたようです。また子供凧では平ゴムを弓に張って鳴らしたりしました。
肌を切るような冷たく強い北風の中、ブンブンと唸りを揚げて空高く揚がった凧の赤を基調とした凧絵と、白く長い糸目が、その透き通った青い空に映え、昔、車などの騒音も少なく静かだったころ、『うなり』の音はかなり遠くまで響き渡り、その音を頼りに凧揚げを見に行ったという話も聞きます。
A "Hummer" is a rattan tape attached to a round bamboo stick that vibrates in the wind to make a sound.
凧の頭(上部)に
ついている長い棒が
『うなり』
The long stick attached to the head (upper part) of the kite is the "UNARI (Hummer)".
『江戸角凧』は細身の長方形の凧
長~い『うなり』と
長~い『糸目』で揚げる
『糸目』の数は基本14本
『しっぽ』は付けない
今は、この揚げ方が主流
昔は『糸目』を短くし
長~い『しっぽ』を付け
『うなり』を付けて揚げた
青い空に揚がった『江戸角凧』
美しく並んだ白い糸目を眺め
『うなり』の音を楽しみ
凧に描かれた絵を楽しむ
江戸から伝わる『粋』な遊び
『江戸角凧』
江戸っ子風に言葉短く
『えどかく』と呼ぶ